6月の安心かわら版
梅雨どきの不調を予防・改善する薬膳の食事術
平年よりも早く始まった今年の梅雨。ジメジメした気候は気分を憂うつにするだけでなく、体の不調も引き起こすことが知られています。特に梅雨どきに多く見られるのは、だるさやむくみ、冷え、食欲不振等の不調です。
国際薬膳師の大坪モモさんは、こうした梅雨どきの不調の原因は、湿気の多さが体に影響を与えているためだと話します。
「東洋医学では、人間の体は自然の一部であり、季節や気候の変化は体にも影響を与えていると考えます。そのため、自然界で湿気が多くなるこの季節は、体の中も湿気が多くなり、それが不調の一因となっているのです」(大坪さん)
大坪さんによれば、特に湿気の影響を受けやすいのは胃腸だといいます。胃腸は湿気に弱く、梅雨の影響で体内に湿気がたまると、胃腸の調子が悪くなりやすいのだそうです。
「胃腸が湿気の影響を受けると消化活動が低下してしまい、消化不良や食欲不振になりやすくなります。また、胃腸には水分や栄養を吸収して全身に送る働きもありますが、その働きも停滞してしまうため、水分の循環が悪くなり、むくみや体の重だるさを招くほか、たまった水分が冷たくなって冷えにもつながってしまいます」(大坪さん)
東洋医学のひとつである薬膳では、こうした梅雨どきの不調は、次のような「胃腸を湿気から守る食材」を積極的にとることで対処します。
1.トウモロコシ
胃腸の働きを助けて水分代謝を促し、体内の余分な水分を排出する性質があります。むくみや体の重だるさ、疲れ、食欲不振等の改善に役立ちます。トウモロコシを炊き込んだ、トウモロコシごはん等がおすすめです。
2.豆類
大豆は胃腸の働きを助けつつ、利尿作用によって体内の余分な水分を取り除きます。黒豆は水分代謝を高めるほか、血行促進や解毒等の性質もあります。そのほか小豆や空豆等も、水分代謝を高めます。カレーに含まれる香辛料は水分代謝を高めるサポートとなるので、豆カレーは梅雨の不調対策にぴったりです。
3.冬瓜
体内の余分な水分を排出して、むくみやはれもの等を抑える性質があります。体を冷やす性質もありますが、加熱調理をすることで冷やす性質は弱まります。肌寒い梅雨の季節は、体を温めるトウガラシを使ったピリ辛煮等がいいでしょう。
4.ハトムギ
利尿作用があり、むくみをやわらげてくれます。胃腸の働きを助ける性質もあり、食欲不振や下痢等の改善にも役立ちます。スープの具材や、ハトムギ茶等の形でとるのがおすすめです。気候に合わせてこうした食材を取り入れることは、自然と体を調和させることにもつながるのだそうです。梅雨を快適に過ごすために、“胃腸を湿気から守る食材”を食生活にプラスしてみてください。
監修者 大坪モモさん
国際薬膳師、東洋医学ライター。健康雑誌編集部をへて、東洋医学関連の書籍・コンテンツ等の企画制作に数多く携わる。東洋医学を知らない方に、その魅力をわかりやすく伝えることに力を入れている。
安全運転アドバイス
「習うより慣れよ」と言われるように、運転においても慣れるということは大切なことです。その一方で、慣れは油断や思い込みなどを生じさせ、「だろう運転」や「ながら運転」の要因になることがあります。また、慣れることでいつのまにか悪い運転習慣がついてしまうこともあります。そこで今回は、慣れがもたらす危険な要素についてまとめてみました。
慣れがもたらす「だろう運転」や「ながら運転」
危険を予測しない「だろう運転」
「だろう運転」とは、横断歩道の手前に横断しようとしている歩行者を認めても、「自車が接近しているから横断してこないだろう」と考えてそのまま走行を続けるなど、交通状況を自分に都合よく判断して、起こり得る危険を予測しない運転をいいます。運転に慣れてくると、運転経験による思い込みなどから、先に挙げた「横断してこないだろう」とか「この交差点では交差道路からの飛び出しはないだろう」といった「だろう運転」に陥りやすい危険があります。「だろう運転」が事故につながりやすいことは言うまでもありません。運転経験は貴重なものですが、それに捉われ過ぎるのは危険です。交通状況は常に変化しますから、「だろう運転」ではなく、「横断してくるかもしれない」「飛び出しがあるかもしれない」といった、常に危険を予測した「かもしれない運転」を実践していきましょう。
周囲の状況を見えなくさせる「ながら運転」
「ながら運転」とは、運転以外の行為をしながら運転することをいい、その典型的なケースはスマートフォンや携帯電話を使用(手で保持しての通話や画像の注視)しながらの運転です。この行為がいかに悪質で危険であるかは、2019年(令和元年)12月1日に施行された改正道路交通法で、走行中のスマートフォン等の使用に対する罰則が大幅に強化されたことにはっきりと示されています。走行中のスマートフォン等の使用は、周囲の状況を見えなくさせ危険の発見を遅らせるだけでなく、運転操作ミスも引き起こしやすいと言われており、重大事故の大きな原因となります。運転する前に、あらかじめ電源を切っておくなどして、走行中は使用しないことを徹底することが必要です。
慣れがもたらす悪い運転習慣
一時停止場所で完全に停止しない
一時停止の標識や標示のある交差点や踏切など一時停止が義務づけられている場所で、速度を落として減速はするものの、完全には停止せずにじりじりと交差点や踏切に進入する車が少なからず見受けられます。一時停止が義務づけられている場所は、完全に停止して十分な安全確認が必要とされる場所であり、たとえ徐行程度に速度を落としたとしても動きながらの安全確認では、確認漏れが生じやすくなります。タイヤの回転をいったん完全に止める、そしてしっかり安全確認をするという運転習慣をつけましょう。
黄信号になると加速して交差点へ進入する
黄信号のときは、交差点に接近していて停止位置で安全に停止できない場合以外は、交差点の手前で停止しなければなりません。しかし、実際には黄信号になると加速して強引に交差点に進入する車も少なくありません。黄信号で交差点へ進入しようとすると、停止した前車に追突したり、右折を開始した対向車と衝突するなどの危険があります。黄信号時は無理をせず交差点の手前で停止するという運転習慣をつけましょう。
進路変更の合図を直前まで出さない
進路変更時の合図は、進路を変更しようとする3秒前に行うことが定められていますが、進路を変更する直前で合図を出す車も見受けられます。3秒前に合図をするというのは、自車がこれからどのような運転行動をとろうとしているかを周囲の車に確実に伝え、それに対応するための準備をしてもらうためですが、直前の合図では、周囲の車は適切な対応をとる余裕もなく事故につながる危険があります。また、場合によっては強引な割り込みと受け取られ、トラブルになるおそれもあります。進路変更の合図は3秒前に出し、確実に周囲の車に伝えるという運転習慣をつけましょう。
上記に掲げた悪い運転習慣はいずれも違反行為に該当しますが、その運転習慣が身についてしまうと、違反行為であるという意識も薄れてくるおそれがあります。ときどき自分の運転を振り返り、悪い運転習慣がついていないか、意識しないまま違反行為を繰り返していないかをチェックしてみるとよいでしょう。