2022年2月の安心かわら版
自律神経を整えるための骨格リセット術
寒さが最も厳しい季節を迎え、体の冷えに悩まされている人も多いのではないでしょうか。体が冷える主な原因は血行不良にありますが、その血行をコントロールするのは自律神経。そのため、自律神経の働きが乱れていると冷えやすい傾向が見られます。 せたがや内科・神経内科クリニック院長の久手堅司さんは、自律神経の働きが乱れる大きな理由に“骨格のゆがみ”があると話します。
「自律神経は脊椎(背骨)の中の脊髄を通っています。骨格がゆがむと脊椎が圧迫されたりねじれが生じたりするため、その中を通る自律神経も圧迫されて働きが乱れてしまうのです」(久手堅さん)
現代人はスマホやパソコンの使用等で姿勢が悪くなり、骨格がゆがんでいる人が多いといいます。そこで、日常生活の中で手軽に実践できる、自律神経を整えるための簡単な骨格リセット術についてご紹介します。
肋骨と脊椎にアプローチする「胸式呼吸」「腹式呼吸」
呼吸は肋骨や脊椎の動きと連動しているため、正しい呼吸を行うと骨格のゆがみをリセットしやすくな ります。代表的な呼吸法である「胸式呼吸」(胸をふくらませる呼吸)と「腹式呼吸」(おなかをふくら ませる呼吸)について、正しい方法をご紹介します。
(1)胸式呼吸
胸の下に両手を添え、3秒かけて肋骨が上に上がるように鼻から軽く息を吸う。その後、3秒間息を止めたら、6秒かけて肋骨を下に下げるように口から息を「フゥー」っと吐き切る。
(2)腹式呼吸
おなかに両手を添え、3秒かけておなかをふくらませながら鼻から軽く息を吸う。その後、3秒間息を止めたら、6秒かけて背中とおなかをくっつけるようなイメージで口から息を「フゥー」っと吐き切る。
昼間や心身を活動的にしたいときは胸式呼吸、夜間やリラックスしたいときは腹式呼吸がおすすめです。
頚椎を整える「首伸ばし」
脊椎のなかでも特にゆがみやすいのは、首にある頚椎(けいつい)です。この頚椎を中心に、頭と首と 肩のつなぎ目にある関節や筋肉をストレッチする「首伸ばし」を行いましょう。
まず、背筋を伸ばし、肩から下は動かさずに頭だけを水平に前へ出し、首を伸ばした状態で10秒間 キープします。その後、あごに手を当ててあごだけを後ろへ水平に押し戻して、10秒キープしましょう。
頚椎や顔周りの関節・筋肉をゆるめる「耳伸ばし」
頚椎や顎関節、頭皮等の顔周りの関節や筋肉を左右対称にゆるめる「耳伸ばし」の方法です。まず、左右 の耳たぶの少し上を両手でそれぞれつまみ、水平方向に引っ張ります。そのまま5~10秒間キープしたら、 手を離します。あわせて、耳を前後にゆっくり回転させることも効果的です。
外耳は自律神経との関係が強い場所なので、耳が気持ちよく感じる程度にマッサージをしたり、寒いとき に耳を手で温めたりすることも、自律神経を整えるのにおすすめです。
どれもほんの少しの時間でできるので、気がついたときに行って、こまめに繰り返してみてください。 自律神経の乱れは、冷え以外にも疲れや不眠、頭痛、腹痛、こり等も引き起こします。こうした不調の予防 のためにも、自律神経を整える骨格リセット術を毎日の習慣にしてみましょう。
監修 久手堅司(くでけん・つかさ)さん
せたがや内科・神経内科クリニック院長。医学博士。日本内科学会・総合内科専門医、日本神経学会・神経内科専門医、日本頭痛学会・頭痛専門医、日本脳卒中学会・脳卒中専門医。東邦大学附属医療センター大森病院等での臨床経験をへて、2013年にクリニックを開業。「自律神経失調症外来」「頭痛外来」「肩こり・首こり外来」等の特殊外来を立ち上げ、なかでも「気象病・天気病外来」「寒暖差疲労外来」は各種メディアで話題を呼んでいる。著書に『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』(クロスメディア・パブリッシング/インプレス)、監修に『面白いほどわかる自律神経の新常識』(宝島社)がある。
せたがや内科・神経内科クリニック https://setagayanaika.com/
安全運転アドバイス
路面は常に正常な状態にあるとは限らず、濡れていたり凍結していることがあります。また、水たまり ができていたり落下物があることもあります。その一方で、路面は道路標示などによって、運転に必要な 情報を提供してくれます。そこで今回は、路面に関する事項をまとめてみました。
こんな路面に注意
(1)濡れた路面や積雪・凍結した路面
濡れた路面や積雪・凍結した路面は滑りやすくなります。特に、凍結路面は摩擦抵抗がかなり小さくなるため非常に滑りやすく、スリップやスピンの危険性も高まります。しかも、濡れた路面や積雪した路面は見分けることが容易ですが、凍結した路面は見分けにくいことがよくあります。一般に、橋の上やトンネルの出入口、昼間でも陽が当たらず日陰になっている部分などは凍結しやすいといわれていますが、それ以外の場所でも気温の下がる朝晩は凍結のおそれがありますので、路面の状態に十分注意して走行しましょう。
(2)水たまりのある路面
雨や解けた雪によって路面に水たまりができることがあります。深い水たまりを走行すると、ブレーキの効きが悪くなることがあります。また、歩行者や自転車に泥水をはねかけるおそれもありますから、できるだけ水たまりを避けて走行するようにしましょう
※やむを得ず深い水たまりを走行したときは、その直後に ブレーキの効き具合を確認するようにしま しょう。
(3)落下物のある路面
路面に物が落ちていることがあります。こうした落下物に乗り上げると、思わぬ事故につながることがありますから、できる限り避けて走行しましょう。また、夜間は落下物の発見が遅れがちになります。対向車があるときや他車の直後を走行するとき、交通量の多い市街地の道路を走行するときを除いて、ヘッドライトをこまめに上向きに切り替えるなどして、落下物の早めの発見に努めましょう。なお、落下物を発見したときは、最寄りの安全な場所に車を止めて、道路緊急ダイヤル(♯9910)で通報するよう心がけましょう。
情報源としての路面
路面には、法令で定められた道路標示と定められていない表示(以下、法定外表示といいます。)が設置されており、ドライバーに重要な情報を提供しています。
(1)道路標示には「規制標示」と「指示標示」がある
道路標示には、路側帯や車両通行帯を示すものや、転回禁止を示すもの、停止禁止部分を示すものなど、交通規制に係る「規制標示」(図1)と、横断歩道や停止線、前方に横断歩道や自転車横断帯があることを示すものなど、交通の指示に係る「指示標示」(図2)があります。いずれの道路標示も運転にとって必要な情報を示していますので、道路標示の意味を正しく理解し、それに従った運転をすることが安全運転の基本となります。
(2)予告機能のある道路標示に注意
道路標示は、図2の「横断歩道や自転車横断帯あり」のように予告機能のあるものもあります。見通しの悪いカーブなどでは前方に横断歩道があっても、それに気づくのが遅れがちになりますが、この道路標示によってドライバーはカーブの先に横断歩道があることを把握でき、十分減速するなどの横断歩行者や自転車に備えた早めの対応をとることができます。道路標示に気づくか気づかないかで運転に大きな差ができてしまうことがありますから、道路標示にもよく目を向けて運転しましょう。
(3)道路状況などへの注意喚起を行う法定外表示
路面には、さまざまな法定外表示も設置されています。例えば、生活道路などの小さな交差点に設置されている交差点クロスマーク表示もその一つです。発見しにくい交差点を事前にドライバーに知らせるため表示であり、この表示を見落とすと、思わぬ出会い頭事故を起こす危険性が高まります。また、視覚効果によってドライバーに減速を促す表示(一般に「減速マーク」と呼ばれています。)(図3)もあります。警察庁の通達「法定外表示等の設置指針について」によれば、「減速を要する区間(急カーブ、急坂カーブ、連続カーブ、追突事故多発区間等)およびその手前において、必要に応じて減速マークを設置すること」とされており、このマークがある場所は減速しなければ安全な走行が確保できないことを示しています。法定外表示は、ドライバーに対して道路状況や交通の特性に関する注意喚起などを行うために設置されているものですから、法定外表示のある場所では、特に慎重な運転を心がけましょう。