2025年8月 安全運転アドバイス
安全な運転をするためには、体調が万全であることが重要な条件となります。特に夏季は、睡眠不足や熱中症、疲労等により体調を崩しやすい時です。そこで今回は、万全な体調を維持するためのポイントについてまとめてみました。
十分な睡眠の確保

「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会)(以下、睡眠ガイドといいます。)によれば、夏季は、他の季節に比べて睡眠時間が短く、寝つきや眠りの持続が難しくなるとされており、睡眠不足になりやすい時期です。万一、睡眠不足の状態で車を運転すれば、居眠り運転につながるおそれがあり、非常に危険です。
睡眠不足を防止するには、十分な睡眠の質(睡眠休養感)と量(睡眠時間)を確保することが大切です。そのためのポイントとして、睡眠ガイドでは成人に対して次の事項を推奨しています。
〇適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する。
〇食生活や運動等の生活習慣、寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める。
〇睡眠の不調・睡眠休養感の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意する。
熱中症の予防

車内にいても、熱中症にかかることがあります。特に渋滞などに巻き込まれ、長時間車内の乾燥した状態に閉じ込められた時は、脱水症になりやすいといわれています。脱水症は熱中症の症状の1つとされており、めまいや頭痛など、運転にとって危険な事態を招きます。エアコンがあるからといって決して過信せず、こまめに水分を補給するという予防の基本を徹底しましょう。
また、マスクを着用していると顔の半分くらいが覆われることで熱がこもりやすくなり、熱中症にかかるリスクが高まるといわれています。マスクを着用して運転する場合は、より一層の水分の補給を心がけましょう。
なお、眼鏡をかけて運転する場合は、マスク着用により眼鏡が曇ることがありますから注意しましょう。
疲労の防止
◆疲労が運転に与える影響

疲労は運転に次のような影響を与えます。
・注意力や集中力が低下して、漫然運転を招くおそれがあります。
・ハンドルやブレーキ、アクセル等の運転操作に正確さが欠けるようになります。
・ちょっとしたことでイライラしたりカリカリしがちなため、運転が荒くなりやすくなります。
・疲労の影響は「目」に最も強くあらわれるといわれており、運転にとって重要な「見る」ことの正確さが失われ、見落としや見誤りが増えるおそれがあります。
・疲労時は反応が鈍くなるため、危険を認知して判断するまでに時間がかかり、停止距離が長くなるおそれがあります。
◆日常の体調管理による疲労防止のポイント

暑い時期は疲労が生じやすくなります。疲労防止の基本は十分な睡眠の確保にありますが、それだけでは十分ではありません。特に次の事項に留意した体調管理を心がけましょう。
・過度な運動は、その日のうちの疲労解消を難しくさせますので、適度な運動に留めましょう。
・眠る前の飲酒は睡眠の質を悪くさせ、睡眠不足の要因になると言われています。翌日に運転する予定がある時は飲酒をしないことは当然ですが、運転する予定がない時でもほどほどにしておきましょう。
・疲労は蓄積されていき、様々な疾病の要因となります。疲労がなかなか抜けないと感じたときなどは、早めに医師に相談するとよいでしょう。
◆運転時の疲労防止のポイント

運転による疲労を防止するために、特に次の事項を心がけましょう。
・スピードの出し過ぎや強引な追越しなどの無謀な運転は、事故の危険があるだけでなく、緊張を高め疲労をもたらす原因となりますのでやめましょう。
・疲労を感じてからの休憩では、からだが回復するのに時間がかかるといわれています。ドライブなどで長時間の運転をするときは、疲れを感じていなくても、少なくとも1時間に1回は休憩をとり、軽く体操をするなどして、からだを動かすようにしましょう。