2024年12月 安全運転アドバイス
先を急ぐという行為は、ミスを招く大きな要因であり、車の運転でも同じことが言えます。先急ぎには、先急ぎの状況を生み出した要因があります。そこで今回は、先急ぎの運転が招く危険性や、先急ぎ運転を防ぐための方法の一つである、先急ぎの要因を作らないためのポイントについてまとめてみました。
先急ぎの運転が招く危険
時間的な余裕のない運転の危険性
先急ぎとは、時間的な余裕のない状態とも言えます。時間的な余裕がない状態での運転は、少しでも早く先へ進もうとするために、スピードを出し過ぎる、追越し禁止場所でも追越しをするなどの違反を省みない危険な運転に陥りやすくなります。
また、時間的な余裕がないと運転操作や確認行為を省略することが増えてしまいます。車の運転の場合、ハンドルやブレーキなどの基本的な運転操作は省略することができませんが、短時間の駐車の場合にパーキングブレーキをかけない、エンジンを切らないなどの安全確保措置が省略されることがあります。
確認行為も省略あるいは不十分になりがちで、交差点での右左折時や見通しの悪い場所などでの見落としや発見の遅れが生じやすくなります。
心に余裕のない運転の危険性
時間的な余裕がなくなると、心の余裕も失われてしまいます。心に余裕のない状態で運転すると、相手を思いやる気持ちが薄れて、相手に進路を譲るという意識が欠けがちです。その一方で、優先意識は強まり、対面する道路が右折待ちの車で渋滞しているような場面でも、一時停止して対向右折車を先に行かせるようなことをしない、狭い道路で対向車とすれ違う時に自車が強引に先に行こうとする、横断歩道で横断しようとしている歩行者がいても横断歩道の手前で停止しないなどの運転になりがちです。
また、心に余裕がないと、ちょっとしたことでイライラしてカッとなりやすくなります。その結果、前を走る車の速度が少しでも遅く感じると、異常接近をしたり、クラクションを鳴らしたり、パッシングを繰り返すなど、「あおり運転」につながりかねない悪質な運転に陥ることがあります。
先急ぎの要因を作らないためのポイント
先急ぎには、運行計画に時間的な余裕がない、出発が遅れる、途中で渋滞に巻き込まれるなどの要因が考えられますが、先急ぎ運転を防ぐためには、これらの先急ぎの要因を作らないことが重要なポイントになります。
運行計画に時間的な余裕を持たせる
運行計画については、自分で予定している走行時間よりも少し多めの時間をとるのがよいでしょう。よくあるものが、前回は予定より早い時間で到着できたから今回も同じ時間で到着できるだろうという思い込みです。交通状況は常に変化していますので、今回も前回と同じという保証はありません。予定に時間的な余裕を持たせ、早めの出発を心がけましょう。
出発が遅れる時は運行計画を見直す
出発の遅れについては、運行計画に時間的な余裕を持たせることで解消できる場合もありますが、解消できない場合は運行計画を見直し変更する、到着時刻の約束がある場合などは、相手側に連絡をとり到着の遅れを了承してもらうようにしましょう。
また、できるだけ出発の遅れを少なくするため、出発間際に携行品や燃料のチェックをするのではなく、事前にしっかりチェックをして、車に乗り込んだらすぐに出発できるようにしておきましょう。
渋滞情報や事故情報を早めに把握する
渋滞については、自然渋滞と道路工事や交通事故などによる渋滞があります。自然渋滞については発生する箇所や時間帯がほぼ決まっていることが多いので、運行経路に自然渋滞箇所がある場合は、それを想定した運行計画を立てるか運行経路の変更を検討しましょう。
道路工事については、高速道路や幹線道路の大規模な工事の場合には事前に予告されるため把握することが可能ですが、小規模な道路工事については事前に把握することは難しくなります。ただ、小規模な工事の場合は渋滞が長引くことは少ないため、運行計画に余裕を持たせることで対応可能になるでしょう。
交通事故の場合は突発的ですので、事前に把握することは不可能ですが、カーラジオやカーナビゲーションなどで事故情報を収集することは可能です。早めに事故情報を把握して、通行止め等の道路状況に応じた対応をとりましょう。なお、渋滞から抜け出た後、スピードを出す、追い越しを繰り返すなどの先急ぎの危険な運転にならないよう十分注意しましょう。